Vket2023wに出展した話
この記事は どもがよアドベントカレンダー2023 の24日目の記事です。
23日目はあおたくさんのルタバカを食べるでした。
野菜が食べられてえらい!!!(偏並感) てか「ジャガイモとカボチャの中間のような食感、カブやキャベツのような旨みと風味がある」味ってなんだ……想像がつかん
で、予定では「3Dモデルを作った話」になりますが、3Dモデルを作った話自体は過去記事にしたことがあるんだよなあ。
unohanat.hatenablog.com
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というわけで、今回はバーチャルマーケット2023 Winter(以下Vket2023w)の出展にまつわる話全般をしていきたいと思います。
引くほど長くなっちゃったからじっくり読んでくれよな!
バーチャルマーケットとは?
出展申込
今年夏のVket2023 Summerにてどもがよメンバーでワールド巡りしていて、そこで「よし、次は出展しよう!」と決めました。
初出展で売るものもないし作りたいものもない状態のため、ワールドはぶっちゃけどこでも良かったんですが、〆切直前(9/2)に出展申込情報が公式X(Twitter)からPOSTされたため、それで倍率が低いワールドに決め打ち*1。
受かってこそのVketだからね!
最終的には、PCはウンバルスカイ、QuestはMORNING GLORY(アイテム出展*2)に当選しました。
当選後こそ「ホントはQuestもブース出展*3が良かったなぁ」と思いましたが、終わってみればコレで良かったです。2ブース設営は死ねる。
アバターデザイン
無事当選したので、モデル作成に着手します。
出展するワールドのコンセプトに沿ったモデルをあーだこーだ構想すること3日間。
コレで行こう!
コンセプトは「ケモノ」「岩肌」「逆関節」「クソデカリュック」「メガネ」「ぽっちゃり」。後ろ2つは趣味だ!!
名前は「アイベル」ちゃん。アイベックスから取ってます。
アバター作成
アイベルちゃんの3Dモデルを作ります。
作る手順としてはざっとこんな感じ。
事細かに説明すると厚い本が一冊できるので、頑張ったところをピックアップ。
モデリング
モデリングは顔と髪が99%です。あとはまぁ…どうにでもなる!
う~ん、優勝!!
特に今回はぽっちゃり娘なので、頬から顎のラインの丸みにこだわりました。
ちなみに、髪は板ポリで作って適宜厚みをつけてます。他の人はどうやってるんだろう?
リギング
このスカートの貫通を消すのに1週間費やしました。
何が難しいって、座るとスカートの付け根が太ももに埋まるんだ(ベルトのバックルの位置を見るとわかりやすい)。まぁ私のモデリング(&リギング)が悪いといえば、それまでなんだが…。
これはもうウェイトだけではどうにもならないので、UnityのRotation Constraintを利用してなんとかしました*5。
Rotation Constraintを使うと、「立ってる時」と「座ってる時」について、ある程度自由にボーンの位置を設定できます*6。この辺は単純な数学だ。
ちなみに最初は「Blenderのボーンコンストレイントで調整したものをUnityに移植」しようと思いましたが、ボーンコンストレイントの機能がUnityのそれを遥かに上回るためダメでした。
調整後のものがこちら。ままえやろ
テクスチャリング
気持ち悪い柄の杖とセーターがお気に入りです。
ちなみに今回は「ハイポリをスカルプトしてノーマルマップにベイク」するテクは使わず*7、「ヘイトマップをノーマルマップ化」して対応してます。これだと配布テクスチャとも併用しやすいからね。
シェイプキー
シェイプキーはぶっちゃけ過去モデル(ウィル狐RQ)をベースに直感で作りました*8。特に言うことないです。
今回は衣装着脱用のシェイプキーを追加しました。最初「ただ小さくすればいいんだろ?」とナメてましたが、動くとバリが出るので要修正に。ちゃんと考えてやらないとなあ…。
ブース作成
「アイベルができたら終わり!!」じゃないんだなあ。
Vket出展用のブースを作ります。
もしVket初心者がいたら伝えたいのが、入稿可能になったらできるだけ早く仮ブースを入稿しておくこと。というのも、「ワールドのどこにブースが置かれるか」は仮ブースを入稿しないとわからないからです。
あともう一つ重要な点として、入稿用ツール(Vket Tools)でちゃんと入稿できることを確認しておく意味もあります。「Unityのバージョンが違う」「入稿ルールとディレクトリ構造が違う」など、詰みポイントが多々あるので早く潰しておくことに越したことはないです。
まぁ、詰みポイントの7割くらいは、公式の入稿ルールページを熟読しておけば回避できるとは思いますが。
今回のブースは、プレビューワールドを見て「洞窟から抜けて正面にサークルロゴがドーンってなると目立つ!!」という観点で作成してます。
あと、「キャンプファイアするなら焼きマシュマロ食べさせたくない?」ってなったので、作りました。
問題としては「アニメーションをどうするか」だったんですが、「Mocap Fusion [VR]」という神ソフト*9の存在を知り、フルトラでモーションキャプチャできるようになり解決しました。
そうです、オッサンが頑張ってKAWAIIムーブしたものがあちらになります。
PV作成
気合い入れてPVを作りました。
PV用のBGMを聞きうーんうーんと唸りながら、コンテを練りました(紹介する機能が多かったので、構成は比較的簡単)。
コンテさえ出来上がれば、あとはコンテに沿った画を撮って、AviUtlで編集するだけです。
PVのカットは「一人で撮れるもの」と「一人で撮れないもの」に大別されます。
一人で撮れるものは、基本黙々とカメラをセッティングして動くだけです。それでも5~6Take行くと若干めんどいですが。
一人では撮れないカットは、具体的には「Dolly-M*10を使うカット」「椅子に座ったアバターを撮るカット」「2人以上が必要なカット」です。これは、休日に協力者を募って3時間弱で撮りました。協力してくれたどもがよメンバーに感謝です。
いやぁ、一度やってみたかったんですよね、「アバターの周りをくるくる回る」やつ!
それもDolly-Mを使えば一発だぞ!
ちなみに撮ったPVをブースに利用する際の注意ですが、入稿期間内にPVを完成させてyoutubeに上げる必要があります。
理由が2つあって、1つが「youtube以外の動画ストリーミングサービスの動画がVRChatで表示されない場合がある*11」ため。
そしてもう1つが「youtubeはアップロード後に動画の修正ができない」ためです。
〆切直前になってこの詰みポイントに気づいて、慌ててPVを作成しました*12。
ちなみに、アイテム出展についてはアバターにポーズキメさせて入稿するだけなので、割愛。
販売準備
「Vketの入稿も終わった!!」と安心してはいけません。
まだこれだけの作業が残っています。
- アバターの不具合があれば修正
- Unitypackageの作成→テスト
- マニュアルの作成
- 利用規約の作成
- 販売ページ用の画像(サムネイルなど)作成
- boothの販売ページ作成
- vket storeの販売ページ作成
- 試着用ワールド作成
まぁ、マニュアルは用意してない人も結構いるみたいですけどね!!!
無駄に凝ったマニュアルを日・英2バージョン作るのは流石に労力の無駄では?
Vket当日
禁断のアイベル三段盛りだ!!!!
スケジュール
上記のアバター・ブース・販売準備などの一連の作業を、9/12の当選直後から12/1の開会前日までず~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~っとやってました。
掛かった時間を工程ごとに概算すると、以下の通り*13。
- モデリング: 約45H
- リギング: 約32H
- テクスチャリング: 約26H
- シェイプキー: 約10H
- アバター調整(Unity): 約18H
- ブース作成: 約26H
- PV作成: 約8H
- 販売準備: 約54H
しめて219H。いや掛かりすぎ。なんだ販売準備54Hって。
それでも一日あたりに均せば2時間15分なんだよなあ。継続は力なり。
ちなみに219Hあれば、
仕事であれば約1.36人月に相当し、
1クールアニメなら約42周見れ、
アトリエシリーズなら約2.8本プレイでき、
薄い本なら約24P*14描けます。
反省
時間もないのでざっくばらんに。
- バリエーションが多くて手戻りが多かった
- 衣装2種×プラットフォーム2種×製品用とサンプルで2種 = 8アバター…
- 改変をもっとしやすいアバターにしたい
- テクスチャを複数枚に分け、色塗りしやすくする
- UVミラーをなるべく使わない(非対称なテクスチャ改変ができなくなるため)
- マテリアルはもう2~3増やしても良さそう
- 表情用シェイプキーを増やして、表情を作れるようにする
- 体型変更用シェイプキーもあったらいいかもしれない(作るの大変そうだが)
- 「メッシュを分割する」と改変しやすくなるっぽいが、それはパフォーマンス落ちるのでやりたくない
- メッシュの貫通を減らしたい
- PhysBoneで対応しようとするとパフォーマンスが落ちるので、「貫通しづらい体型」にするしかないかも…?
- 他のモデルがどれくらい貫通する(しない)のか確認する
改変のしやすさはわりかしパフォーマンス(ランク)とトレードオフなので塩梅が大変だが、VRC民は改変めっっちゃするため…。
あと「自己流なので、もっと他人のアバター買って研究したほうがいいかなあ」とも思いました(小並感)。
明日はヴぃニキの「終わること、終わらないこと」の予定です。
AC1日目の「変わること、変わらないこと」と対になっててキレイじゃん…。お楽しみに。
*1:PCは倍率が低かったワールド3つを選んで第1~第3希望に。Questはブース出展の倍率が軒並み2倍以上だったため、定員割れ状態のアイテム出展に切替え。
*2:規模の小さい出展方法。今回から新設された
*3:通常の出展方法。アイテム出展と比べ用意は大変だが、自由度が高い。
*4:テクスチャリングを先にすることも多い。
*5:ちなみにQuestではConstraint系は利用できないため、Quest版はスカート破綻したままお出ししてます。
*6:足を広げて座るパターンまでは考慮してないので、股割すると多分破綻する
*7:過去モデル(ウィル狐RQ)はこの手法を使ってます。
*8:まぁシェイプキー以外も直感で作ってるようなもんだけど。
*9:なんか今見たらテスト期間終わったのか有料(1万)になってるな…。まぁでも、他のモーキャプ(Final IK等)も多くは1万以上するから(白目)
*10:撮影用アバター。被写体の他にDolly-M担当とカメラマンで2人必要になる。
*11:私はvimeoとニコニコ動画で試しましたが、どちらも無理でした。vimeoについては(真偽は不明ですが)法人プラン(Enterprise)でなければVRC上では利用できないという情報も。
*12:Vket2023wは入稿〆切が一回延びてるんですが、それがなければヤバかった…。
*14:ぶっちゃけ去年(C101)の薄い本が約200Hのため。